ソニー ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン MDR-HW700DSを実際に約6年使って感じた残念な個所や良い点をまとめてみた。
この記事はこんな人におすすめ!
- MDR-HW700DSのリアルな感想を知りたい
- MDR-HW700DSの良い点だけじゃなく悪い点が知りたい
MDR-HW700DSの発売は2013年10月
別の記事でMDR-HW700DSとWH-1000XM4を比較しているが、今回はより具体的にMDR-HW700DSだけをピックアップしてレビューしている。
MDR-HW700DSとWH-1000XM4を徹底比較!音質や装着感、重量感の違いなどの使用感を総まとめ
MDR-HW700DS レビュー
MDR-HW700DSは2013年にソニーから発売されたワイヤレスサラウンドヘッドホン。
テレビやブルーレイディスクなどのAV機器とMDR-HW700DSのプロセッサーをHDMIケーブルや光角型ケーブル、アナログ音声ケーブルで接続して利用する。
HDMI端子を搭載したテレビなどのAV機器やPCとは接続できるので使用できるが、それらの接続端子が付いていないスマホとは接続することも利用することもできない。
MDR-HW700DSの特長
MDR-HW700DSの特長は次の5つ。
- 9.1chの3D VPTの臨場感あるサラウンド
- 3つのエフェクト(音場モード)
- 5GHz帯を利用した非圧縮デジタル無線伝送方式
- 最大192kHz 24bitの音声ソースに対応
- HDMI接続対応
最大のウリは9.1ch 3D バーチャルホーンテクノロジー
9.1chの3D VPT(Virtualphones Technology)とは実際に目の前のスピーカから音が鳴っているような立体的な音をヘッドホンで再現できる技術のこと。
この3D VPTのおかげで、どんな高価なヘッドホンでも逃れることのできない籠った感じがまったくしないのが最大の特長になる
3つのエフェクト(音場モード)
予め設定された音場モード(エフェクト)が下記の3つあるが、シネマモード以外は音が良くないので実質この特長は機能していない。
- シネマモード :理想的な映画館の音場を再現
- ゲームモード:マルチチャンネルサラウンドのゲームを正確な方向感と音場を実現
- ボイスモード:ニュース番組などに適した、人の声が聞き取りやすくする設定
2.4GHzと5GHz帯の両方を利用できる非圧縮デジタル無線伝送方式
2.4GHzと5GHzの2つの周波帯の無線方式を利用しているので、電波干渉が起きにくいはずなのだが、10年前に設計された機器なのでスマホの電波に干渉してしまって、ノイズが発生する。
詳しくはデメリットの項目に書いている。
最大192kHz 24bitの音声ソースに対応
192kHz 24bitの音声ソースに対応しているとはいえ、ヘッドホンの高域は25,000Hz(25KHz)までしか対応していないので、情報量の多い音の再現性は劣る。
HDMI接続対応
DVDプレイヤーやTV、PCのHDMI端子とプロセッサー(受信機)をHDMIケーブルで接続することで音声を出力することができる。
MDR-HW700DSの仕様
ヘッドフォン型式 | 密閉ダイナミック型 |
---|---|
ドライバーユニット | 口径50mmドーム型 |
再生周波数帯域 | 5Hz – 25,000Hz |
重量 | 約320g |
電源 | 内蔵リチウムイオン充電池(DC3.7V ) |
充電時間 | 約3時間 |
電池持続時間 | 約12時間 |
充電方法 | USB Micro-B 充電 |
到達距離 | 最大約30m |
---|---|
エフェクトモード | OFF、CINEMA、GAME、VOICE(STEREO) |
デコーダー | DTS、MPEG-2 AAC、他 |
プロセッサー伝達帯域 | 12-24,000Hz (デジタル入力時 48kHzサンプリング時) |
出力端子 | HDMIx1、光デジタル(角型)x1 |
入力端子 | HDMIx3、光デジタル(角型)x1、アナログ入力(ピンジャック)x1 |
電源 | 付属ACアダプター(12V, 1500mA) |
大きさ(幅×高さ×奥行) | 220×32×157mm |
質量 | 410g |
付属品 | 充電用マイクロUSBケーブル(1.5m)、光デジタル接続ケーブル(1.5m)、ACアダプター、取扱説明書と保証書 |
MDR-HW700DSの付属品
説明書
↑リファレンスガイド、クイックスタートガイド、はじめにお読みください、保証書、本機の使用上の注意事項が入っている。
↑クイックスタートガイドには多種多様なAV機器との接続方法がイラストで描かれている。
ケーブル類
↑左側は光デジタル接続ケーブル(1.5m)、中央は充電用マイクロUSBケーブル(1.5m)、右側はACアダプター
ヘッドフォン
↑イヤーパッドは低反発のウレタン素材でできている。厚みがあるので防音性能にも優れている。
ヘッドバンド
↑幅広のヘッドバンドなので安定性は高い。長年使用しても表面の剥がれも少ない。
シリアルナンバー
↑シリアルナンバーはヘッドバンドの付け根に記載されている。
ヘッドバンドは左右で合計8㎝伸ばせる
↑ヘッドバンドは片側4㎝伸ばせる。左右で合計8㎝サイズ調整できる。
イヤーパッド
↑写真は6年間使用したようすだが、僅か数年でイヤーパッドの表面がボロボロに剝がれてくる。
剥がれた欠片の掃除が大変なので、こうなる前にAmazonでサードパーティー製になるが交換用のイヤーパッドが1500円程で買えるので交換したほうが良い。
メーカーに頼まなくても自分で工具不要で簡単に交換できる。
↑ヘッドフォン本体のイヤーパッドの厚さは約3㎝もあるので、耳が痛くなることは少ない。
ヘッドフォン本体下部のボタンと端子
↑ヘッドホン左側には2つのボタン類が付いている。写真左側は充電用マイクロUSB端子、右側は電源ボタン。
↑ヘッドフォン本体の右側には4つボタン類があり、写真上段の左はボリュームつまみ、隣はエフェクトボタン、下段左側はメニュースイッチ、隣は入力切替ボタン。
プロセッサー(受信機)
↑プロセッサー(受信機)背面には写真左からHDIM入力端子×3、HDMI出力端子、光デジタル音声入力と出力端子、アナログ音声入力(L/R)端子、ACアダプター端子が並んでいる。
↑プロセッサー(受信機)上面には写真左から電源ボタン、インプット/IDセットボタン、エフェクトボタン、マトリックスボタン、コンプレッション/メニュー/エンターボタンが並んでいる。
各ボタンの用途は下記のとおり
- 電源ボタン:押すとプロセッサー(受信機)の電源がオン、3秒以上押すと電源オフ
- インプット/IDセットボタン:ヘッドホン増設時に利用
- エフェクトボタン:音場モード切替
- マトリックスボタン:入力音声信号を最大9.1chに拡張する機能
- コンプレッション/メニュー/エンターボタン:ダイナミックレンジの広さを切り替え
↑プロセッサー(受信機)側面には左からATT(LINE IN)スイッチ、ワイヤレスバンドスイッチ、コントロール For HDMIスイッチが並んでいる。
各スイッチの用途は下記のとおり
- ATT(LINE IN)スイッチ:アナログ機器の音声が小さいときに0dbにする
- ワイヤレスバンドスイッチ:周波数帯を切り替える。Auto、5GHz、2.4GHzから選択
- コントロール For HDMIスイッチ:AVアンプを経由して繋ぐときはMODE2に切り替える。ゲーム機器やTVなどはMODE1を使う
MDR-HW700DSを使用した感想とデメリット・メリット
MDR-HW700DSを実際に1年間使用してみてわかったデメリットとメリットを書く。
MDR-HW700DSのデメリット
MDR-HW700DSは発売から10年ほど経過しているのでデメリットは多い。
- スマホの電波と干渉するので雑音や接続切れが頻繁に発生する
- HDMI端子または音声端子が必要なのでスマホで利用できない
- 音が外部に漏れる
- プロセッサー(受信機)と機器の間のケーブル配線が面倒
スマホの電波と干渉するので雑音や接続切れが頻繁に発生する
スマホと電波干渉してノイズや接続切れが発生することが最大のデメリットになる。
電波干渉対策としてトランスミッタ側で電波の帯域幅を2.4GHzと5GHzに変更できるが効果はまったく無い。
スマホが近くにあると、僅かな通信が発生する度に必ずノイズは発生するので、スマホの電源を切るか、距離を離すしか対策の施しようがないので、こればかりはどうしようもない
HDMI端子または音声端子が必要なのでスマホで利用できない
数多くのAV機器やPCに搭載されているHDMI端子にトランスミッターと呼ばれる送信機を接続し、そこからヘッドホンへ無線で音声信号を飛ばす方式になっている。
Bluetoothなどは搭載されていないので、スマホの音声を聞くことはできない。
音が外部に漏れる
籠ったように聴こえない大きなメリットがあるが、その弊害で音が外部に漏れやすい。
元々家で利用する目的で設計されており、音漏れ対策は一切されていないのでスピーカーが耳元に付いているようなもの。なので普通のヘッドホンよりも明らかに音漏れする。
なので1人でこっそりと楽しみたい音を聞く場合は、周囲に人が居ないかよく確認しないといけない。
プロセッサー(受信機)と送信機の間のケーブル配線が面倒
PCやAV機器などの送信機とHDMI端子でプロセッサー(受信機)と接続し、ヘッドホンをワイヤレス化する目的で造られているので、配線の煩わしさが発生する。
MDR-HW700DSのメリット
MDR-HW700DSのメリットは下記の3つになる。
- ヘッドホン特有の籠って聞こえる感じがしない
- 耐久性が高い
- バッテリーの持ちが良い
ヘッドホン特有の籠って聞こえる感じがしない
一般的な普通のヘッドホンは音漏れ対策として遮音性を良くしているので、内部で籠ったような音になるが、MDR-HW700DSのヘッドホンは籠って聞こえない。
それもそのはずで、野外での利用を想定しておらず、家の中での利用を想定しているので音漏れ対策はされていないことが籠っている感じしない原因だ。
耐久性が高い
イヤーパッドの耐久性は低いが、ヘッドホン本体の壊れにくさは相当なもの。
6年間程、ほぼ毎日使用していたが全く壊れなかった。
バッテリーの持ちが良い
新品購入から5年程でバッテリーの持ち時間が半分ほどになった。
毎日数時間は使用していたのにも関わらず長期間持ったので、バッテリーの持ち(寿命)はかなり良い(長い)。
MDR-HW700DS レビューまとめ
MDR-HW700DSは実際に前方に設置したスピーカーから音が鳴っているように聞こえるバーチャルホーンテクノロジーが最大のウリで特長になる。
籠って聞こえる他のヘッドホンとは明らかに違いを感じる。
良くも悪くも昔ながらのアナログ要素満載のヘッドホンなので壊れにくく耐久性が高いことも素晴らしい。
くれぐれも、スマホやPCの音声を聞きたい場合は間違って購入しないように注意してほしい。
MDR-HW700DSの購入をおすすめできるのは、映画鑑賞が趣味で、なおかつHDMI端子を搭載しているAV機器を持っている場合だけになる。
MDR-HW700DSとWH-1000XM4の比較記事はこちら↓
MDR-HW700DSとWH-1000XM4を徹底比較!音質や装着感、重量感の違いなどの使用感を総まとめ