FRACTALDESIGNのATX対応PCケース Define 7 FD-C-DEF7A-01を実際に約1年使用した体験を元に感想と良い点や残念な点を写真多めでレビューします。
この記事はこんな人におすすめ!
- Define 7の良い点と悪い点を知りたい
- 当たり障りのない情報ではなく真実を知りたい
- 実際に使用してみた感想を知りたい
Define 7 FD-C-DEF7A-01の発売は2020年2月
Define 7のレビュー
Define 7はFRACTALDESIGN(フラクタルデザイン)社製のやや大型のミドルタワーPCケースです。
- FRACTALDESIGN(フラクタルデザイン)は2007年に設立されたスウェーデンにあるPCのハードウェア会社です。主にPCケースや電源、冷却ファンを手掛けています
- 製品の設計はスウェーデンですが、製造は中国です
Define 7のサイズ違いは5種類
Define 7にはシャーシのサイズによって製品名が異なる下記の5種類が存在ます。
- Define 7 XL
- Define 7 ※当記事で取り上げる製品
- Define 7 Compact
- Define 7 Mini
- Define 7 Nano
上になるほどサイズが大きくなります。
※当記事の内容はFRACTALDESIGN公式Webサイトの情報を元に作成しています。
Define 7の製品型番
Define 7はサイドパネルの種類やカラーによって製品型番が異なります。
大きく分けてサイドパネルが強化ガラスになっていてPC内部が見えるタイプと、強化ガラスになっておらず吸音素材が張り付けられているソリッドパネルの2タイプに別れます。
外装と内装のカラー、サイドパネルの種類、強化ガラスの色の3つ組み合わせがあります。
- カラー(ブラックorホワイトorグレーorブラック/ホワイト)
- サイドパネルが強化ガラスになっているか否か(強化ガラスorソリッド)
- 強化ガラスの場合はガラスの色が3種類(クリアーorライトorダーク)
上記の組み合わせによって全部で8つの型番が存在します。
強化ガラスの色は次のように濃くなっていきます。
ダーク > ライト >クリアー
製品型番 | 内外装の色 | サイドパネル | 強化ガラスの色 |
---|---|---|---|
FD-C-DEF7A-01 | ブラック | ソリッド(静音仕様) | – |
FD-C-DEF7A-07 | グレー | ソリッド(静音仕様) | – |
FD-C-DEF7A-09 | ホワイト | ソリッド(静音仕様) | – |
FD-C-DEF7A-05 | ブラック(外装) ホワイト(内装) | 強化ガラス | クリアー |
FD-C-DEF7A-06 | ホワイト | 強化ガラス | クリアー |
FD-C-DEF7A-02 | ブラック | 強化ガラス | ライト |
FD-C-DEF7A-08 | グレー | 強化ガラス | ライト |
FD-C-DEF7A-03 | ブラック | 強化ガラス | ダーク |
Define 7のモデル名と製品型番の対応は下記のようになっています。
※見出しがモデル名になっています。
Define 7 ソリッド
サイドパネルがソリッドになっているのは下記の3型番です。
- ブラック:FD-C-DEF7A-01
- グレー:FD-C-DEF7A-07
- ホワイト:FD-C-DEF7A-09
Define 7 Clear Tempered Glass
サイドパネルの強化ガラスの色がクリアーなのは下記の2つの型番です。
- ブラック/ホワイト:FD-C-DEF7A-05
- ホワイト:FD-C-DEF7A-06
Define 7 Light Tempered Glass
サイドパネルの強化ガラスの色がライトになっているのは下記2つの型番です。
- ブラック:FD-C-DEF7A-02
- グレー:FD-C-DEF7A-08
Define 7 Dark Tempered Glass
サイドパネルの強化ガラスの色がダークになっている型番は下記の1つだけです。
内外装のカラーはブラックしかありません。
- ブラック:FD-C-DEF7A-03
Define 7の特長
Define 7 ソリッドの特長は次の7つです。
- 用途に合わせて柔軟に内部構造を変更可能
- 5インチベイ搭載
- 後部に140ミリファンが搭載できる
- 左右どちらからでも開閉できるフロントパネル
- 外装パネルに吸音材が張り付けられている
- 最大のE-ATXから最小のMini-ITXまでの全マザーボードサイズが使える
- 5インチベイに光学ドライブを装着しても前面に330mmのラジエーター取付け可能
以降は、サイドパネルが静音仕様でソリッドタイプの型番FD-C-DEF7A-01について書いています。
①用途に合わせて柔軟に内部構造を変更可能
Define 7の最大の特徴は構成パーツの増減だけで柔軟に用途に合わせた構造に変更できることです。
↑とにかく部品点数が多いです。
構造も合理的で良く考えられて設計されているのがよくわかります。
②5インチベイ搭載
現在のPCケースでは非常に珍しくなってしまった5インチドライブベイが標準で搭載されています。
他メーカーのミドルサイズ以上の大型ケースでもちらほら搭載している製品もありますが、FRACTALDESIGN(フラクタルデザイン)社製のPCケースの中だと数えるほどしか5インチベイは搭載されていません。
③後部に140ミリファンが搭載できる
PCケース後部に排気用として140mmファンが搭載できるのは、静音性を重視する場合のニーズに適合しています。
小型サイズの幅が細いPCケースでは後部に搭載できるのは120mmファンが限度であることがほとんどです。
④左右どちらからでも開閉できるフロントパネル
前部の外部パネルが開閉方向を右開き、左開きのどちらにも変更することができます。
開閉向きを変える具体的は方法はユーザーマニュアルに図解で記載されています。
⑤外装パネルに吸音材が張り付けられている
後部と底部以外の上部パネル、左パネル、右パネル、前面パネルの合計4カ所に吸音材が張り付けられています。※実際の写真は後の見出しで確認できます。
吸音素材自体に重量があるため、PCケース全体が重くなるというデメリットはありますが、静音性重視の用途には非常にマッチします。
⑥E-ATXからMini-ITXまでの全マザーボードサイズが使える
市販の個人用PC向けのマザーボードの全サイズを利用することができます。
ミドルタワーかつ、そのなかでも大きなサイズの部類に入るので当然のことです。
⑦5インチベイに光学ドライブを装着しても前面に330mmのラジエーターが取付け可能
ユーザーマニュアルでは5インチベイ利用時は前面には280mmまでのラジエーターしか取り付けできないと記載されていますが、実際は322mmのラジエーターも余裕で取り付け可能です。※詳細は後の見出しに載せています。
Define 7の仕様
材質 | スチール、合成樹脂 |
---|---|
対応マザーボード | E-ATX、ATX、MicroATX、Mini-ITX |
5インチドライブベイ | 1 |
内部3.5/2.5インチベイ | 6 (最大14) |
内部2.5インチベイ | 2 (最大4) |
本体寸法 | 幅240×高さ475×奥行547mm |
本体重量 | 13.5キロ |
外部I/Oポート | USB 3.1 Gen 2 Type-C×1、USB3.0×2、USB 2.0×2、マイク×1、ヘッドホン×1 |
拡張カードスペース | 長さ315mm(最大491mm) |
CPUクーラースペース | 高さ185mmまで |
電源ユニットスペース | 奥行250mmまで※内蔵ベイ取り外しで拡張可能 |
対応電源 | ATX |
搭載可能ファン | 上面:140mm×3、前面:140mm×3、背面:140mm×1、底面:140mm×2 |
Define 7の梱包箱
↑梱包箱のサイズはかなり大きいです。縦65センチ、横55センチあります。
↑梱包箱の奥行は約36センチです。
↑梱包箱を開梱すると左右を緩衝材に挟まれたPCケース本体とネジ等が入ったアクセサリーボックスが収まっています。
Define 7の付属品
Define 7の付属品は大きく分けると次の4種類が入っています。
- ネジ類一式(各種取り付けネジ、HDD用ダンパー、ケーブルタイ)
- 3.5インチ/2.5インチトレイ
- メッシュタイプの外装上面パネル
- ユーザーマニュアル
↑付属品はインストレーションガイドと保証書とネジ類一式です。
ネジ類一式
ネジ類は下記の8種類入っています。
- HDD用ダンパー(防振ゴムワッシャー):28個
- 3.5インチドライブ用ネジ:28本
- 取り付け用鍋ワッシャーネジ:40本
- 取り付け用バインドネジ:15本
- 源取り付け用ネジ:4本
- マザーボードの予備スタンドオフ(スペーサー):1本
- スタンドオフ(スペーサー)用工具:1個
- 結束バンド:8本
マザーボードとケースの間に取り付けるスタンドオフ(六角形のスペーサー)はケース本体に最初から装着されています。付属品に入っているのはスペアです。
3.5インチ/2.5インチトレイ
↑3.5インチHDDや2.5インチSSDを取り付けるための金属製のトレイです。同じものが6個付属しています。
- 2.5インチのストレージはトレイの底面に空いている4カ所の穴を使ってネジ留めします
- 3.5インチのストレージはDefine 7に付属しているHDD用ダンパー(防振ゴムワッシャー)を使ってネジ留めします
メッシュタイプの外装上面パネル
↑メッシュになっている天板パネルです。
PCケース上面に冷却ファンや簡易水冷用ラジエーターを取り付ける場合に利用できます。
最初に装着済みの天板パネルは静音仕様なので吸音材が裏面に貼られていますが、このメッシュパネルには吸音材が張られていないため、静音性は損なわれます。
ユーザーマニュアル
↑ユーザーマニュアルは多言語で書かれています。日本語の記載もあります。
赤いのは注意書きです。
Define 7の外観
↑正面上部には白色の電源LEDランプが付いています。
↑左サイドパネルはビス止めされていないのでワンタッチで取り外し可能です。
↑背面は一番下に電源ユニット、その上にマザーボードの拡張スロットパネル(7穴)とI/Oパネルがあり、横に140mmファン(Dynamic X2 GP-14)が標準で1つ搭載されています。
拡張スロットの横、電源ユニットの上に縦に並んでいる2つの拡張スロットはライザーケーブルを利用してビデオカード等を取り付ける際に利用します。
右サイドパネルもビス止めされていないのでワンタッチで取り外し可能です。
↑本体の底にはネジで固定されているインシュレーターと、取り外しが容易なフィルターが装着されています。写真左側が前で右側が後ろです。
底面フィルター
↑左側が前部方向です。フィルターの網部分だけ取り外しできない、かつスリットのデザインが施してあるので掃除しにくいです。
底面にあるレールの溝にはめ込まれているだけなのでワンタッチで取り外し可能です。
Define 7の本体上面にあるフロントポート
↑天板の前部には下記のI/Oポートやボタンがあります。
- ヘッドフォン端子
- マイク端子
- リセットボタン
- USB 3.1 Gen2 Type-Cポート
- 電源ボタン
- USB2.0ポート×2
- USB3.0ポート×2
USB 3.1 Gen2の最大転送速度は10Gbps(論理値)です。しかし、その性能をフルに発揮できるストレージが存在しないのが現状です。
Define 7の内観
Define 7の内部構造は複雑で用途によっては使わないパーツも多いです。
内部骨格部分の金属製シャーシ以外のパーツはほとんど全て合成樹脂製なので軽量です。
合成樹脂製のパネルは嵌め込まれているだけなので工具を使わずに取り外すことが可能です。
マザーボード側の内観
↑マザーボード側の前部にはラジエーターやHDDを搭載するスペースが設けられています。
本体内部上面のフィルター
↑外装の上面パネルを取り外すとフィルターが現れます。
このフィルターがあるのでメッシュタイプの上面パネルに換装してもホコリがPCケース内部に入るのを防いでくれます。
標準の吸音材が張ってある上面パネルを利用する場合にはフィルターは不要ですが、外しても邪魔になるだけなので取り付けた状態のままです。
本体内部上面のブラケット
↑外装の上面パネルとフィルターを取り外した状態です。
冷却ファンやラジエーター取り付け用のスリットが入っています。
上の丸い穴は水冷ラジエーターの冷却水用の給水口に使うことができます。
口径は25.4mmです。
本体上面のブラケットの外しかた
↑上面ブラケットは2本のビスで留めてあるだけなのでプラスドライバーで簡単に取り外せます。
上面ブラケットを取り外したほうがマザーボードやCPUクーラー等の取り付けがし易くなるので作業効率が上がります。ただし、上面ブラケットを外した状態だとサイドパネルが装着できないので再度取り付ける必要があります。
本体内側のカバー(蓋)
↑本体内側には取り外し可能な蓋が側面と底面の2カ所にあります。
ユーザーマニュアルでは、この蓋に下記の名称が付いています。
- 側面カバー:垂直ウォールカバー
- 底面カラー:シェラウドインレー
側面の垂直ウォールカバーが装着された状態のままだと5インチベイに光学ドライブ等を取り付ける時にネジで固定できなくなります。取り外しておくと作業が楽になります。
この側面のカバー(蓋)はスチール製ブラケットと樹脂製プレートが合わさって構成されているので重さ数百グラムあります。
PCケース自体の重さも軽くなるので取り外すことをおすすめします。
側面カバー
↑側面カバーは樹脂製のカバーだけ取り外すことが可能です。
スチール製のブラケットを取り外す場合はネジを外すのが大変です。
このブラケットを丸ごと取り外す方法を次に記載しています。
側面カバーの金属製ブラケットを取り外す方法
側面カバーのスチール製のブラケットを取り外す場合は、シャーシと固定されている下部のネジを外すのが大変です。
なぜなら、横向きにネジが付いているので周囲に手が干渉してしまい、持ち手の細いドライバーかL字型のプラスドライバーが必要だからです。
↑シャーシ下部のネジが横向きなので普通の一般的なプラスドライバーでは外すのはほぼ不可能です。ネジが回せない場合は側面カバーは取り外さないほうが無難です。
側面カバーを固定しているシャーシ下部のネジを外すのがDefine 7の最大の難所です。
なので手持ちの工具で外せない場合は無理して外さないことをおすすめします。
ネジ山を潰してしまう可能性が高いからです。
底面カバー
↑本体内側の前部には蓋があります。
フロント側に全長140mmを超える簡易水冷ラジエーターを取り付ける場合は、この蓋を取り外す必要があります。
蓋はプラスチック製です。はめ込まれているだけなので工具なしで取り外すことができます。
3.5インチ/2.5インチストレージ用2段ケージ
↑蓋を外すと直下に3.5インチ/2.5インチストレージ用の2段ケージが姿を現します。
この2段ケージは底面のシャーシに4本のビスで固定されているのでプラスドライバーを使って取り外します。
↑フロント側にラジエーターを取り付けない場合でも2段ケージは不要です。軽量化と通気性を上げるために取り外しました。
スチール製の2段ケージには3.5インチ/2.5インチベイトレイが2個入っていて重いので、取り外すだけでもだいぶ軽くなります。
このようにDefine 7には使わないパーツが多いです。
前面パネルの内観
↑上部の5インチベイと、その下にフィルターが装着されています。
フィルターは凹凸で留まっているだけなので簡単に取り外し可能です。
↑購入時の状態だと前面に搭載された2個のファンが中途半端な位置にネジ留めされています。
前面フィルター
↑スリットが入っているプラスチック製のホルダーからフィルターだけを取り外すことはできないので、洗うのはやや大変です。
↑5インチベイの蓋にも防塵用にフィルターが付けられています。
マザーボード裏側の内観
マザーボードの背面側(裏側)は配線をスッキリ収納できるようにガイドやマジックテープが付いています。
↑下部にある長い合成樹脂製の板状のパーツは取り外すことができます。
はめ込まれているだけなので工具不要です。
この細長い板状の樹脂製パーツは配線を隠すのと、外装パネルにケーブルが挟まれないようにする目的で取り付けられています。
↑細長い板状の樹脂製パーツを取り外すと配線ケーブルと3.5インチドライブ用2段ベイが現れます。
なお、電源ユニット取り付け時はケーブルを配線するのために、この板状の樹脂製パーツを取り外す作業が必要になります。
ちなみにこの板状の樹脂製パーツはユーザマニュアルでは「背面シュラウド」と記載されています。
樹脂製パーツは力まかせに取り外すと破損する可能性があります。樹脂のたわみを利用して凸部を外すのですが、なかなか外れない時は根気が必要です。
Define 7の標準搭載ファン
項目 | 値 |
---|---|
回転数 | 1000rpm |
ブレード数 | 7 |
ノイズレベル | 18.9dBA |
最大風量 | 68.4CFM |
最大風圧 | 0.71mmH20 |
定格電流 | 0.20A |
定格入力 | 1.32W |
定格電圧 | DC 12V |
最小起動電圧 | 4V |
コネクタ | 3ピン |
MTBF(平均故障間隔) | 10万時間 |
ベアリング方式 | LLSベアリング |
本体サイズ | 140×140×25mm |
重量 | 142g |
ケーブルの長さ | 50㎝ |
Define 7の標準搭載ファンの向きと位置
↑後ろには140mmファン(Dynamic X2 GP-14) 1個が標準で搭載されています。
標準搭載後部ファンの向きは内側の空気を外部に排出する方向に取り付けられています。
↑シャーシ内側の前側には140mmファン(Dynamic X2 GP-14)が2個標準で搭載されています。
標準搭載前部ファンの向きは外側の空気を内部に取り入れる方向に取り付けられています。
外装パネル内側と吸音材
↑前面パネルの内側の凹んでいる部分に吸音素材が埋め込まれています。
↑天板パネルにも吸音素材が張られています。
↑左右の外装パネルの裏側にも吸音素材が張り付けられています。
吸音材は表面積の大きい部分にしか張られていません。
ある程度のノイズは吸収してくれそうですが、
音は隙間から漏れる性質があるので過度に期待しないほうがいいです。
5インチベイに光学ドライブを取り付ける方法
Define 7の5インチベイに光学ドライブを取り付けるには次の手順が必要です。
- 本体内側の樹脂製側面カバーを取り外す
- フィルターと2本のネジで固定されている5インチベイのブラケットを取り外す
- 光学ドライブに②で取り外したブラケットの向きを90度変えて取り付ける
最後の③の部分は判りにくいので写真付きで解説します。
金属製ブラケットの向きを90度変えて付け直す
Define 7購入時は5インチベイは利用しない前提でパーツが組まれています。
なのでそのままの状態では5インチベイは利用できません。
5インチベイに光学ドライブを搭載するためには金属製ブラケットの向きを変えて付け直す必要があります。
↑最初に5インチベイにネジ2本で固定されている金属製の拡張ブラケットは上の写真の向きになっています。このブラケットを90度向きを変えます。
↑この向きの状態でブラケットをシャーシに取り付けます。
ちなみに上下は反転していても取り付け可能です。
光学ドライブ側のネジ穴の位置に合わせて上下の向きを変更してください。
↑この向きの状態でブラケットをシャーシに取り付けます。
写真ではわかりやすくするために金属製のブラケットをシャーシから外していますが、先にシャーシにブラケットを固定してから、その後に光学ドライブを取り付けたほうが作業し易いです。
光学ドライブのネジ穴の位置によってブラケットの上下の向きは反転させてください。
↑左右のネジ2本だけで固定されているので光学ドライブの重さで後部が下がっています。
5インチベイ使用時でも前面に最大370mmのラジエーターを取付け可能
公式のユーザーマニュアルでは、5インチベイを利用していた場合、前面に280mmのラジエーターしか取り付け出来ないような図解が記載されていますが、実際は下記のとおりです。
- 底面カバーを外さない状態で実測値は約280mm
- 底面カバーを外した状態での実測値は約370mm
つまり5インチベイを光学ドライブで利用していても最大370mmのラジエーターをPC内部前面に取り付け可能です。
長さ322mmの簡易水冷ラジエーターを取り付けたDefine 7のPCケース内部の写真です↓
電源ユニットスペース
↑電源ユニットが搭載できるスペースの奥行は280mmですが、これは3.5/2.5インチストレージ用ベイまでの長さです。ベイを取り外した場合はそれ以上の長さのスペースがあります。
かなりの広さがあるので電源ケーブルも余裕で収納することができます。
この広いスペースを有効に使用するには、余ったスペースのシャーシ底面の位置に140mmのケースファンを取り付けるのがおすすめです。
電源ユニット用ブラケット
↑電源ユニットを取り付ける場合はシャーシに取り付けられている金属製のブラケットを外します。
↑ブラケット内側の4カ所のネジ穴を使って電源ユニットとブラケットを固定します。
電源ユニットをシャーシ内部に挿入後に、ブラケット左右の大きなネジを使ってシャーシに固定します。
こういう構造になっている理由はメンテンナンス性向上のためです。
電源ユニットを取り外すたびにドライバーを使ってネジ4本を緩めるよりも、工具不要で手動で緩めれる2本のネジを使ったほうが作業時間が短縮できて楽だからです。
PWMファンハブ
Define 7内部のマザーボード裏側に「Nexus+ 2 PWM Fan Hub」という名称のPWMファンハブが搭載されています。
3ピンコネクタのファン6個と、4ピンコネクタのフィン等を2個、それとマザーボード側に回転数を知らせたいファンや水冷ポンプ等を1個接続することが可能です。
合計30Wまでの消費電力に対応しています。
- ファンハブとは複数のファンをタコ足配線できるためのコネクターのことです。つまりUSBハブのファン版です
- PWMとは可変回転数型のことです。マザーボードのBIOSやソフトウェア側で回転数を変更することが可能です
PWMファンハブ「Nexus+ 2 PWM Fan Hub」の使い方
PWMファンハブの使い方は次のとおりです。
- PWMファンハブ本体へから出ている給電用のSATA電源ケーブルを電源ユニットと接続します
- PWMファンハブ本体からは1本の3ピンコネクタが出ているので、任意のマザーボード側のファンコネクタに接続します
- PWMファンハブにファンや水冷ポンプ等のコネクタを接続します
ファンハブのメリットデメリット
ファンハブを使う最大のメリットは、本来マザーボード側のファンコネクタに直接つなぐ必要があったケーブルをひとつにまとめることができるため、配線がスッキリすることです。
そしてマザーボード側にファンコネクタが少ない場合は数を補うことができます。
いっぽうファンハブのデメリットは個別にファンの回転数を制御できないことです。
マザーボードに直接接続した場合はそれぞれのファンの回転数を変更できますが、ファンハブに接続されたファンの回転数はすべて一律にしか変更できなくなります。
それと万が一、ファンハブが壊れた場合、接続していたファンはすべて停止する可能性があります。
最近の一般的なマザーボードを使う場合、余程のことがない限りファンコネクタが足りなくなることは無いのでこのPWMファンハブを利用する機会はあまりなさそうです。
ただし、Define 7に標準で付属している140mmファン3個をケースファンとして利用する場合は回転数を気にしなくて良いのでPWMファンハブを利用すると配線が3分の1に減ってスッキリするのでおすすめです。
Define 7を約1年間使用した感想
Define 7の良いところはとにかくメンテナンス性とデザインが良く、機能的なことです。それとPC内部の体積が大きいのでよく冷える点です。
残念なところは重量が重いことと、部品点数が多いので新品購入後の導入時の組み立てやカスタマイズがやや大変なことです。
Define 7の残念な点
もっとも残念な点はPCケース本体だけで14キロ近くあるので、電源ユニット等のパーツを全て組み付けると約20キロの重量になってしまう点です。
フルアルミ製で半分ぐらいの重量になれば文句無しなのですが。。
それと、3.5インチと2.5インチ共有ベイを取り外すのだけでも非常に多くの部品を外さないといけなかったり、とにかく構造が複雑です。
最初はユーザーマニュアルを見ながら作業することになるのは避けられない程です。
とくに、自分好みの構成にカスタマイズするために不要な部品を取り外すのが大変です。
構造の複雑さとカスタマイズの柔軟性はトレードオフになっている部分もあるので致し方ないところです。
とはいえ、いまどき3.5インチのHDDや2.5インチのSSDを複数使うことは個人用途だとほとんどないので、重い金属製ベイは最初から取り外した状態であれば助かるのになというのが本音です。
長く大きなハイエンドグラフィックスカードや大きなサイズの簡易水冷ラジエーターの装着ニーズが高いため、PCケースのサイズが大きな体積になるのは必然なのでわかりますが、余ったスペースに内部ストレージ用ベイ等のパーツや機能、スペースは不要だと思います。
ストレージ用PCを作る人よりも、ハイエンド3Dゲーム用PCを作るのが目的でDefine 7を購入する人が圧倒的に多いはずだからです。
Define 7の良い点
メンテナンス性の良さが最も評価できる点です。
前面と左右のパネルは工具不要でワンタッチで取り外しできるので、PC内部の構成を変更する労力が激減します。
例えば拡張スロットにカードを増設したりメモリの交換やCPUクーラーの交換も気軽に実施できます。
外観のデザインも無駄が無く洗練されています。数年以上外観が大きく変わっていないのも納得です。
ミドルケースの中でも大きな筐体サイズなので当然ですが、拡張性が高く、PCの内部スペースにも十分な余裕があります。なので構成パーツにもよりますが普通の使い方をしている限り熱が内部にこもったりすることは皆無です。
Define 7のレビューまとめ
Define 7はPC内部のスペースが広いので搭載できるパーツのサイズに制約はないといっても過言ではありません。どんなパーツでも難なく追加できるので拡張性は高いです。
FRACTALDESIGN(フラクタルデザイン)社がPCケースに掛ける熱意は尋常じゃない気がしています。実際の製品設計からも十分に感じ取れますが、製品のラインナップを非常に細かく揃える辺りにも意欲の高さを感じます。
世間のニーズに合致した設計とブラッシュアップの度に洗練されて着実に進化しています。将来Define 8が販売されたら購入する気になるのは間違いないでしょう。
それ位、良く考えられて創られているのを感じることができます。
Define 7は非常に合理的で洗練されたデザインと内部構造を備えたPCケースです。
- サイズが大きく鉄製シャーシなのでかなり重い
- クラウドストレージが主流の時代なのに3.5インチHDDや2.5インチSSD用の構造やパーツが無駄に多い
- 140mmファンをたくさん搭載できるので静音重視のPCに向いている
- 用途に合わせて柔軟にカスタマイズ可能な内部構造の機能性と拡張性は素晴らしい。外観デザインもピカイチのPCケース