M.2のNVMe接続SSD2台でRAID0を設定する方法と転送速度のベンチマーク結果を実体験レビューする。
当記事で利用しているマザーボードはASUSの「TUF GAMING Z790-PLUS WIFI」、
M.2(Type2280)NVMe接続SSDはSAMSUNGの「990 PRO MZ-V9P2T0B-IT」。
この記事はこんな人におすすめ!
- M.2のNVMe接続SSDでRAID0を作成する詳細な設定方法と手順が知りたい
- M.2のNVMe接続SSDを使ったRAID0のメリットとデメリットが知りたい
- SAMSUNG 990 PRO×2台のRAID0(ストライピング)構成のベンチマーク測定結果が知りたい
- SAMSUNG 990 PRO(MZ-V9P2T0B-IT)の発売は2022年12月
- ASUS TUF GAMING Z790-PLUS WIFIの発売は2023年1月
M.2のNVMe接続SSDを使ったRAID0に意味はない?
M.2のNVMe接続SSD2台でRAID0を組む意味はあるか否かだが、
結論:ない
まったく意味が無いわけではないが、M.2のSSDでRAID0にするメリットは薄い。
なぜなら、元々M.2のSSDは単体でも十二分に転送速度は速いからだ。
連続データの読み書き速度は2倍になるが、ランダムアクセスの読み書き速度はほとんど変わらないので、転送速度の速さは体感できない。
しかも、メリットよりもデメリットのほうが多くなる。
故障率が2倍になるし、マザーボードBIOSのアップデート等でRAIDボリュームが壊れる可能性もゼロではなく、データが消失するリスクが高いのでメリットは殆どない。
なにより、転送速度が2倍になったということは実感できないことがM.2のSSDでRAID0にする意味が無い最大の理由だ。
とはいえ、ベンチマークで桁違いの転送速度を見ることに醍醐味があるので、RAID0をどうしても設定したい場合は以下に詳細な設定手順を載せている。
RAID0とは
RAID0とは別名ストライピングとも言い、ストレージ2台に分散してデータを保存するので総容量は2台分になり、転送速度も2倍になる。
2台以上のストレージでRAID0を構築できるので、構成台数が増えるほど転送速度は向上する。
デメリットはどちらか片側のストレージが壊れると、すべてのデータが壊れる点にある。
このようにRAID0は、速度と故障率の高さがトレードオフの関係になっているのが特徴。
RAIDの実装方法は3種類
RAIDを実装する方法はソフトウェアRAIDとハードウェアRAID、チップセットRAIDの3種類ある。
ハードウェアRAIDが最も高性能だが、専用のRAIDカードが必要で敷居が高い。
主にサーバで利用されている。
チップセットRAIDはマザーボードのチップセットに搭載されたRAID機能を利用する。
インテルのCPUソケットが備わったマザーボードだとIntelのラピッド・ストレージ・テクノロジー (RST)にRAID機能が含まれている。
ソフトウェアRAIDはWindowsなどのOSに標準で搭載されていて、無料で利用できる。Windows 11だと【コントロールパネル】の【記憶域】で【シンプル】を設定すればRAID0を作成できる。
項目名 | ハードウェアRAID | チップセットRAID | ソフトウェアRAID |
---|---|---|---|
コスト | 高い | 低い | 低い |
性能 | 高い | 普通 | 低い |
導入難易度 | 高い | 普通 | 低い |
主な用途 | サーバ | PC | PC |
実装方法 | 専用拡張ボードを追加 | マザーボードに標準搭載 | OSに標準搭載 |
RAID0に必要なもの
チップセットRAIDでRAID0を設定するのに必要なものは下記の2つ。
- ストレージ(SSD)×2
- チップセットRAIDのドライバー ※システムディスクとしてOSをインストールする場合
当記事では、①のストレージは SAMSUNGのM.2(Type2280)NVMe接続SSD 「MZ-V9P2T0B-IT」を2台、RAID0で構築したディスクにOSをインストールするため、②のチップセットRAIDドライバーの「Intel Rapid Storage Technology Driver software V19.5.0.1037」を用意した。
※マザーボードはASUSのTUF GAMING Z790-PLUS WIFIを利用している。
SAMSUNGのM.2(Type2280)NVMe SSD MZ-V9P2T0B-ITのレビュー記事はこちらを参考にしてほしい↓
Samsung 990 PRO 口コミ評判レビュー
RAID0の設定手順
RAID0の構築手順の概要は下記になる。
- マザーボードのM.2スロットにNVMe接続SSDを2台取り付ける
- BIOSでVMDの設定を変更する
- BIOSでIntel Rapid Storage Technology(IRST)のRAIDボリュームを作成する
- ③にOSをインストール時にISRTのドライバー内のVDMコントローラーのドライバーを読み込ませる
上記の各項目を詳細に解説していく。
①マザーボードのM.2スロットにNVMe SSDを2台取り付ける
マザーボードのM.2スロットにNVMe SSDを取り付ける。
M.2スロットが3つ以上ある場合は、CPUソケットに最も近い箇所に1台取り付け、もう1台はどこに取り付けてもOKだが、同じPCIe4.0×4の帯域幅のスロットに取り付けないと性能がフルに発揮できないので要注意。
殆どのマザーボードはCPUソケットに最も近いM.2スロットがCPU制御のはずだが、絶対ではないのでマザーボードのマニュアルをよく確認にして、CPU(プロセッサー)制御のM.2スロットに取り付けよう。
ちなみに2台ともチップセット制御のM.2スロットに取り付けて大丈夫だが、CPU制御のM.2スロットを含めてRAIDを構成したほうが転送速度が上がる。
ASUSのマザーボードはCPUソケットに最も近いM.2スロットはCPU制御になっていて、他はすべてチップセット制御のスロットになる。
②BIOSでVMDの設定を変更する
マザーボードのBIOSからVMDコントローラーの設定を変更する必要がある。
BIOSの初期設定だとVMDコントローラーは無効になっているので、【Disable】から【Enable】に変更しないといけない。
VMDとはボリュームマネジメントデバイスの略称で、NVMe SSDの性能を上げる機能。
この機能が有効になっているとSSDが認識しない不具合が起きる場合があるので通常は無効にしておいたほうがいい。
VMDの設定を変更する詳細手順は下記のとおり。
- PC起動時にF2キーを押してBIOSに入る
- アドバンスドモードに入り【システムエージェント設定】→【VMD setup menu】内のEnable VMD controllerを [Enabled]、Map PCIE Storage under VMD を[Enabled] にMap SATA Controller under VMD を [Disabled] に変更する
- F10キーを押して設定変更を保存してPCを再起動する
↑上の写真と同じ設定にすればOK。F10キーを押して設定を保存しPCを再起動する。
※当記事はBIOSの言語を日本語にしているが、英語だと有効は[Enabled] 、無効は [Disabled]になる。
③BIOSでIRSTのRAIDボリュームを作成する
VMDの設定を有効した後に、ISRT機能を利用してRAID0のボリューム(論理ドライブ)を作成する。
RAID0のボリュームを作成する詳細手順は下記のとおり。
- PC起動時にF2キーを押してBIOSに入り、アドバンスドモードに入る
- 【Intel(R) Rapid Storage Technology】→【Create RAID Volume】に入る
- RAID0のボリュームを作成する ※設定値は下記の表を参考
- Create Volumeを押し、F10キーを押して設定変更を保存してPCを再起動する
- 再びBIOSに入り、RAID Volumesを確認する ※確認作業なので必須ではない
↑上の写真の値を入力後に、Create Volumeを押すとRAIDボリュームが作成される。
F10キーを押して設定を保存しPCを再起動し、RAID Volumeを確認する。
項目名 | 設定値 | 説明・補足 |
---|---|---|
Name | Volume1 | RAIDボリュームの名前。任意の名前でOK |
RAID Level | RAID0(Stripe) | RAIDの種類を選択 |
Select Disks | × | RAIDボリュームを構成するSSDを選択 |
Strip Size | 64K または 128K | データブロックのサイズで[4K][8K][16K][32K][64K][128K]が選択可能※初期値は64K |
Capacity (MB) | 自動入力 | ボリュームの容量を指定するが最初から入力されている |
- ストライプサイズが大きいほうが一般的にはパフォーマンスが良くなる
- なのでストライプサイズは128Kのほうが転送速度のベンチマークで良い結果になりやすい
④RAIDボリュームにOSをインストール
最後に作成したRAIDボリュームにOSをクリーンインストールする。
通常のOSクリーンインストールの手順と異なるのはISRTドライバー内のVDMコントローラーのドライバーを読み込ませる必要がある点だ。
原因はWindows11の標準搭載のドライバーにISRTのドライバーが入っていないからだ。
RAID0のボリュームにOSをインストールする詳細手順は下記のとおり。
- F8キーを押してブートモードでPCを起動し、画面の案内に則って設定していく
- 「Windowsのインストール場所を選んでください。」の画面でドライブ(RAIDボリューム)が表示されないので、ISRTのドライバーの中に入っているVDMコントローラーのドライバーを読み込ませる
- 以降は通常のOSクリーンインストール手順と同様
ISRTドライバーを用意する
OSをインストールする前にISRTのドライバーをUSBメモリーに保存する必要がある。
先ず、ASUSのサポートサイトのドライバーとツール内のSATA項目にある「Intel Rapid Storage Technology Driver software」をダウンロードする。
ダウンロードしたzipファイル解凍して、ISRTドライバーの入ったフォルダをUSBメモリーに保存し、マザーボード直結のUSBポートに挿すと、認識してドライバーを読み込むことができる。
当記事ではWindows11 ProのインストールイメージをUSBメモリーに保存してOSをインストールしている。
- マザーボード直付のUSBポートにUSBメモリーを接続する必要がある
- 外付けのUSBハブに挿すと認識しないので要注意
- OSイメージが入ったUSBメモリー内にISRTドライバーを保存しても大丈夫
※USBメモリーを2つ用意して別ける必要はない
ISRTドライバー内のVDMコントローラードライバーを読み込ませる
F8キーを押してブートモードでPCを起動し、Windowsインストール画面の案内に則って設定していく。
途中で「Windowsのインストール場所を選んでください。」画面が表示されるのだが、ISRTのドライバーファイルがOSインストールイメージ内に存在しないので、USBメモリー内に保存したISRTドライバーを読み込ませるとRAIDボリュームが表示され、OSをインストールできるようになる。
↑通常だとディスク(SSD)が表示されるが、RAIDボリュームなのでISRTのドライバーを読み込ませる必要がある。
【ドライバーの読み込】を押す。
↑案内が書かれた小ウィンドウが表示されるので【OK】を押す。
↑フォルダーの参照画面が開くので、【USBメモリーのドライブ】 → 【Intel_Rapid_Strage_Technology_Driver_software】 → 【Driver】を選択した状態で【OK】ボタンを押す。
↑上段のIntel RST VMD Controller ××を選択した状態で【次へ】ボタンを押す。
写真のように2段表示された場合でも一番上を選択すればOK。
↑Intel RST VMD Controllerドライバーの読み込みが完了すると、インストール場所選択画面にRAIDボリュームが表示されるので、【ドライブ1の割り当てられない領域】を選択した状態で【次へ】ボタンを押す。
※新規でパーティションを作成する必要はない。
以上でRAIDボリュームに関連した設定手順は完了になる。
後の流れは通常のOSクリーンインストール手順と同じだ。
RAID0のベンチマーク
ここからは各種ベンチマークソフトを利用した転送速度等の結果を載せているので参考にしてほしい。
RAIDボリュームを構成しているM.2 SSDのSamsung 990 PROは単体でもレビューしているので、その時の結果と比較している。※PCの構成パーツはどちらもまったく同じ。
基本情報と健康状態(CrystalDiskInfo)
↑CrystalDiskInfoで表示させたRAIDボリュームを構成しているM.2 SSD Samsung 990 PRO MZ-V9P2T0B-ITの情報と健康状態。RAIDボリュームなので対応転送モードは表示されていない。
CPUソケット側に接続したM.2 SSDのほうが、チップセット側に接続したM.2 SSDよりも温度が4℃高い。
ドライブ温度(HWiNFO64)
↑PCのハードウェアの状況をモニタリングできるソフトウェアのHWiNFOでもSSD温度を確認したが、CPU側に接続したSSDのほうが温度は高くなっている。※HWiNFOもCrystalDiskInfoと同様にS.M.A.R.T情報を読み込んでいるだけなので同じ値になる。
ベンチマーク(CrystalDiskMark)
ストレージの転送速度を計測するベンチマークソフトのCrystalDiskMarkを使ってRAIDボリュームにOSと最低限のドライバーとソフトしか入っていない状態で速度を計測してみた。
連続データの読み書き転送速度は単体SSDの計測値の2倍になっている。
ところが、ランダムデータ(Q32T16)の読み書き転送速度は単体SSDよりも著しく低下している。
Samsung 990 PRO単体のランダムデータ(Q32T16)の転送速度は5000~6000MB/sだが、その4分の1程度の1200MB/sしか出ていない。
Q1T1のランダムデータ転送速度も単体SSDのほうが早く、RAID0ボリュームのほうが低い。
ベンチマーク(AS SSD Benchmark)
SSDの性能を計測できるベンチマークソフトのAS SSD Benchmarkで計測した結果を載せておくので参考にしてほしい。
↑シーケンシャル(連続データ)の値は単体SSDの約2倍の速度が出ているが、それ以外の速度は低下している。
スコア(Score)も半分の値になってしまった。Samsung 990 PRO単体のスコアは約12000。
↑AS SSD BenchmarkのコピーテストのISOは2つの大きなファイル、Programは多くの小さなファイル、Gameは小さなファイルと大きなファイルの両方のコピー速度の計測結果になる。
単体SSDよりも1/10~1/8ほどの値という酷い結果になってしまった。
他のベンチマークソフトの結果と比べて、あまりにも値が低過ぎるのでIntel RAIDボリュームとAS SSD Benchmarkの相性が良くない可能性もある。
ベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)
↑ATTO Disk Benchmarkはストレージの転送速度を棒グラフで表示してくれるベンチマークソフト。
Samsung 990 PRO単体の測定結果よりも小さいサイズの転送速度は低くなっている。
例えば、8KBのデータの転送速度は単体は読込1.27GB/s、書込1.18GB/sだが、RAIDボリュームは読込1.03GB/s、書込963MB/sと低下している。
64Kのストライプサイズが影響しているようだ。
いっぽう、大きなデータサイズの転送速度はCrystalDiskMarkの測定結果と似た値で単体SSDの2倍になっている。
ベンチマーク(AnvilBenchmark)
↑AnvilBenchmarkはMB/sやIOPS単位でディスク アクセス時間のテスト結果も表示してくれるSSD用のベンチマークソフト。
シーケンシャル(Seq 4MB)の読書きは単体SSDよりも約2倍の速度が出ているが、それ以外はすべて低下しており、単体SSDの半分程度の速度しか出ていない。
使用しているマザーボードはASUSの”TUF GAMING Z790-PLUS WIFI”で、OSは”Windows 11 Pro”で、BIOSやドライバー類は必要最低限で、かつ最新の状態にして計測している
M.2 MVMe SSD RAID0のメリット・デメリット
M.2 MVMe SSD 2台でRAID0のボリュームを作成して実際に使用した感想とメリットとデメリットを書く。
デメリット
M.2 NVMe SSD RAID0のデメリットは3つ。
- 故障率とデータ損失のリスクが高くなる
- ランダムアクセスの速度が低下する
- RAID0ボリュームの設定と削除が面倒
①故障率とデータ損失のリスクが高くなる
RAID0(ストライピング)は物理的にはSSD2台にデータアクセスを分散させて転送速度を早くしているが、ソフトウエアで論理的にSSD2台をボリューム化して1台にしているので、片方のSSDが故障したら、ソフトウエア的に作成したボリュームは即壊れてしまう。
ボリュームが壊れると保存していたデータは復旧不可能になり、取り出すことはできない。
しかも、マザーボードやSSDのソフトウエアやファームウェアのアップデートでボリュームが壊れてしまう可能性もゼロではないので、SSD単体で運用するよりも遥かにリスクが高くなる。この点がRAID0最大のデメリットだ。
なので、すくなくともRAID0は大事なデータを保存する用途には向いていない。
②ランダムアクセスの速度が低下する
IntelチップセットのRAID機能はストライプサイズが64Kと小さく、さらに2台のSSDに分散してデータを読書きするので、単体SSDよりもランダムアクセス読書き時の効率が著しく低下してしまう。
連続データなら、2台に分散させると速度は単純に倍になるが、ランダムアクセスは、連続したデータではないので、RAID0だとアクセスが分散されるため、かえって効率が悪くなる。
③RAID0ボリュームの設定と削除が面倒
RAID0の作成は当記事を読んでもらうと作成は可能だが、単体SSDと比較すると工程数も時間もはるかに多くかかる。
しかもRAIDボリュームを削除しただけでは、MBRという論理領域にRAIDの構成情報が残ってしまうので、それを消さないと不具合が起き、その情報を削除するのも一手間かかる。
このようにRAID0は設定と削除が面倒なことも大きなデメリットだ。
※RAIDボリューム削除手順とその後に発生する不具合の対処方法も当記事の後半に載せている。
メリット
M.2 NVMe SSD RAID0のメリットは下記の1点だけ。
- 大きなサイズの連続データの読書き速度は単体SSDの2倍速い
連続データの読書き速度は単体SSDの2倍
RAID0唯一のメリットは単体SSDの連続データの転送速度の2倍速いことだ。
2倍は通常は体感できない。
体感できるシチュエーションは1ファイル数十GBあるような巨大なサイズの動画ファイルなどを扱う時に限られる。
残念ながら、それ以外の用途でRAID0ボリュームの転送速度の速さは体感できない。
OSの起動は複数のプログラムを読み込むのでランダムアクセスがメインになる。
なので、通常使用で連続データの読書転送速度の速さがメリットになるような場面はほとんどない。
RAIDボリュームを削除する方法
RAIDボリュームを削除する手順は下記の流れになる
- BIOS アドバンスドモードの【Intel(R) Rapid Storage Technology】内の【RAID Volumes】に表示されるRAIDボリュームを選択する
- 【システムエージェント設定】→【VMD setup menu】内のEnable VMD controllerを [Enabled]→ [Disabled] に、Map PCIE Storage under VMD を[Enabled]→ [Disabled] に変更してF10キーを押して保存し、PCを再起動
①RAIDボリューム削除
↑F8キー連打でPCを起動してBIOSのアドバンスドモードに入り【Intel(R) Rapid Storage Technology】の【RAID Volumes】に表示されている【ボリューム名,RAID0(Stripe),〇〇】を選択する。
↑【Delete】を選択する。
↑すべてのデータが消える警告が表示されるので【Yes】を選択する。
↑RAIDボリュームの削除が完了すると、Create RAID Volumeが選択できる状態になる。
②VMD設定を元に戻す
最後に、RAIDボリュームを作成するために変更したBIOS設定を元に戻す。
そのままでも大丈夫だが、元に戻したほうが不具合の可能性を防ぐことができる。
【システムエージェント設定】→【VMD setup menu】内のEnable VMD controllerを [Enabled]→ [Disabled] に、Map PCIE Storage under VMD を[Enabled]→ [Disabled] に変更してF10キーを押して保存し、PCを再起動する。
※Map SATA Controller under VMD は [Disabled] のままでOK。
RAIDボリューム削除後のブートセクター不具合対処方法
ここからは、RAIDボリュームを削除後、SSDの特殊な領域にRAID情報が残っていて、単体SSDとして利用できない不具合が発生したときの対処方法になる。
GPTヘッダー破損メッセージ
RAIDボリューム削除直後のBIOS起動画面に下記の内容のGPTヘッダー破損メッセージが表示される。
“GPT header corruption has been detected,please check SATA mode setting in BIOS Setup,or yuou can use [Boot Secter (MBR/GPT) Recovery Policy] item under [Boot Configuration] page to recovery GPT header.”
日本語訳:GPT ヘッダーの破損が検出されました。BIOS セットアップで SATA モード設定を確認してください。または、[ブート構成] ページの [ブート セクター (MBR/GPT) 回復ポリシー] 項目を使用して GPT ヘッダーを回復できます。
ブートセクター(MBR/GPT)回復ポリシーを自動回復に変更する
↑F8キーを押してBIOSに入り、アドバンスドモードの【起動】にある【ブートセクター(MBR/GPT)回復ポリシー】を自動回復に変更し、F10キーを押して設定を保存してPCを再起動すれば回復する。
後は通常通り、SSD単体として利用可能になる。
変更したBIOS設定はそのままで問題ない。
RAID0にするとSAMSUNG Magicianは使用できなくなる
今回利用したSSDはSamsung 990 PRO「MZ-V9P2T0B-IT」でSAMSUNGの公式サイトから無料でダウンロードできる「SAMSUNG Magician」というユーティリティーソフトが利用できる。
だが、そのソフトウェアからRAID0ボリュームは個別に認識されないため、ファームウェアのアップデートもできない。ベンチマーク測定もできなくなる。
まとめ
M.2 MVMe SSDのチップセット機能を使って構築するRAID0はデメリットが多すぎるので、とてもおすすめできない。
RAID0はマイナスの影響のほうが多く、深刻で重大な問題に直結するデメリットばかりなので、ベンチマーク測定の桁違いの速度を見て楽しんだら、RAIDボリュームを削除して通常の単体SSDとして利用することをおすすめする。
実際に、体感で速くならないことを体験した後にRAIDボリュームを削除し、単体で運用している。
昔のストレージは転送速度が今よりも遅かったのでRAID0のメリットはあったかもしれないが、現在はSSD単体でも十二分に早いので、データ損失のリスクをしょってまでわざわざRAID0を作成して運用するメリットはどこにもない。
- 連続データの読み書きは2倍になるがランダムデータの速度は逆に低下する
- OSの起動などの体感速度は十分速いが、非RAIDとの差は体感できない
- ISRTドライバーやBIOSのアップデートでRAIDボリュームが壊れてデータ損失のリスクが高いのでおすすめしない