SAMSUNGのM.2(Type2280)NVMe接続SSD MZ-V9P2T0B-ITを実際に購入して使ってた感想とメリット・デメリットを実体験レビューする。
この記事はこんな人におすすめ!
- MZ-V9P2T0B-ITの購入を検討している
- 実際に使った感想を知りたい
- ベンチマーク結果を知りたい
MZ-V9P2T0B-ITの発売は2022年12月
MZ-V9P2T0B-ITとは
MZ-V9P2T0B-ITはSAMSUNGが販売しているM.2 Type2280のNVMe接続SSDの2TB版。
SAMSUNGとは
SAMSUNGとは韓国に本社のある家電・電子製品メーカーのサムスン電子が展開しているブランド名。
MZ-V9P2T0B-ITの特長
MZ-V9P2T0B-ITには下記の特長がある。
- PCIe Gen4 x4対応
- 最大読込み速度 7450MB/s、最大書込み速度 6900MB/s
- キャッシュメモリーはLPDDR4 2GB
- MTBF(平均故障間隔)150万時間
PCIe Gen4 x4対応
PCIeはPCI Expressの略称で、Gen4は世代数。
×4は帯域幅(レーン)の数で×1で2GB/秒の通信速度なので、Gen.4 x4は8GB毎秒(2GB×4レーン)の最大帯域幅がある。
帯域幅の値が大きいと一度に送信できるデータ量が増え、データ通信が短時間で済むので通信速度が速くなる。
最大読込み速度 7450MB/s、最大書込み速度 6900MB/s
連続データの最大読込み速度が7450MB/秒で最大書込み速度は6850MB/秒。
Gen.4 x4の最大帯域幅は約8000MB/秒が上限なので最大値に近い速度が出る。
キャッシュメモリーはLPDDR4 2GB
LPDDRとは低消費電力で動作するメモリーで、2GBをキャッシュメモリーとして搭載している。
SSDに大容量のキャッシュメモリーを積んでいると転送速度が低下しづらいというメリットがある。
MTBF(平均故障間隔)150万時間
MTBFとは故障するまでの平均時間のことで、この値が高いほど信頼性が高くなる。
150万時間は年に変換すると171年になる。
MZ-V9P2T0B-IT レビュー
MZ-V9P2T0B-ITのレビュー。
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MZ-V9P2T0B-ITの仕様
フォームファクター | M.2-2280 | |
---|---|---|
インターフェース | PCI Express 4 x4 | |
対応規格 | NVMe 2.0 | |
コントローラー | Samsungオリジナル | |
NANDフラッシュ | Samsung V-NAND TLC | |
キャッシュメモリ | LPDDR4 2GB | |
シーケンシャル読込最大速度 | 7450 MB/s | |
シーケンシャル書込最大速度 | 6900 MB/s | |
ランダム読込み最大速度 | 1400K IOPS | |
ランダム書込み最大速度 | 1550K IOPS | |
書込耐性 | 1200TBW | |
MTBF(平均故障間隔) | 150万時間(171年) | |
保証期間 | 5年 |
MZ-V9P2T0B-ITの外箱
MZ-V9P2T0B-ITの付属品
↑付属品は取扱説明書。
取扱説明書
MZ-V9P2T0B-ITの外観
↑片面実装基板なので、ラベル面の反対側には印字のみ。
基本情報と健康状態
CrystalDiskInfoで見たOSをインストールし、システムディスクとして利用したMZ-V9P2T0B-ITの情報と健康状態。
製造は2023年3月9日なのでファームウェアは健康状態の不具合が改善された”1B2QJXD7”になっていた。
ベンチマーク(CrystalDiskMark)
ストレージの転送速度を計測するベンチマークソフトのCrystalDiskMarkを使ってOSしか入っていない状態で速度を計測してみた。
シーケンシャルデータのQ8T1の読込み実測値は7100MB/s前後(7450MB/s)、書込みは約6800MB/s前後(6950MB/s)と読み込みは仕様よりも数値が出ていない。()内は仕様値
CrystalDiskMarkの設定がデフォルトとNVMe SSDの時とで、シーケンシャルとランダムの両方で大きな差が出た。
連続データの読み書きはブロックサイズが小さく(128K)、32個の待ち行列(Q32)のときは転送速度は速い。いっぽう、ブロックサイズが大きく、待ち行列が無いときは転送速度は遅い。
ランダムデータの読み書きはマルチスレッド複数同時処理(T16)のときは転送速度は速いが、シングルスレッド(T1)だと遅い。
ランダムデータのほうが実測値に近く、体感し易いので、複数同時処理時のほうが速さを体感できる。
他のSSDと比較すると、想定よりも良くない値になっている。
ベンチマーク(AS SSD Benchmark)
SSDの性能を計測できるベンチマークソフトのAS SSD Benchmarkで計測した結果を載せておくので参考にしてほしい。
↑AS SSD BenchmarkのコピーテストのISOは2つの大きなファイル、Programは多くの小さなファイル、Gameは小さなファイルと大きなファイルの両方のコピー速度の計測結果になる。小さなファイルの転送速が最も低くなっている。
他の類似SSDよりも測定結果はあまりよくない。
ベンチマーク(ATTO Disk Benchmark)
↑ATTO Disk Benchmarkはストレージの転送速度を棒グラフで表示してくれるベンチマークソフト。
CrystalDiskMarkの測定結果と似た値が出ている。
ベンチマーク(AnvilBenchmark)
↑AnvilBenchmarkはMB/sやIOPS単位でディスク アクセス時間のテスト結果も表示してくれるSSD用のベンチマークソフト。
使用しているマザーボードはASUSの”TUF GAMING Z790-PLUS WIFI”で、M2スロットは最上段のCPU直結側を利用している。OSは”Windows 11 Pro”で、BIOSやドライバー類は最新の状態
MZ-V9P2T0B-ITのメリット・デメリット
MZ-V9P2T0B-ITを実際に使用した感想とメリットとデメリットを書く。
デメリット
MZ-V9P2T0B-ITのデメリットは1つ。
- ランダムデータ Q1T1の転送速度が速くない
ランダムデータ Q1T1の転送速度が速くない
シーケンシャルデータの転送速度は仕様どおりの値が出ているが、ランダムデータのQ1T1の速度が、他のSSDよりも遅い。とはいえ、速さの違いは体感できない。
あくまでもベンチマークの測定結果を比較した値が他の類似のSSD(CFDのCSSD-M2M2TPG4NZL)よりも良くないというだけだ。
メリット
MZ-V9P2T0B-ITのメリットは下記の1点。
- ファームウェアのアップデートが簡単
ファームウェアのアップデートが簡単
唯一のメリットはファームウェアのアップデートが”SAMSUNG Magician”という名称のユーティリティーソフトから簡単にアップデートできる点だ。
なので、問題のあるファームウェアが入っていても、改善されたバージョンに容易に変更することが可能。
SAMSUNG Magician(ユーティリティーソフトウェア)
↑MZ-V9P2T0B-ITはSAMSUNGの公式サイトから無料でダウンロードできる「SAMSUNG Magician」というユーティリティーソフトのトップ画面の左側から、ベンチマークの測定やファームウェアのアップデートが簡単にできる。
SAMSUNG Magicianのパフォーマンス&ベンチマーク
↑シーケンシャル(連続データ)アクセスの測定結果はMB/sで表示されるが、ランダムアクセスの結果はIOPS単位でしか表示されない。
SAMSUNG Magicianでファームウェアをアップデートする方法
↑ファームウェアアップデートができる状態だとSSDの横に【アップデート】ボタンが表示される。
↑ファームウェアのアップデート後にPCがシャットダウンする旨のメッセージが表示されるので【OK】ボタンを押す。
↑ファームウェアのアップデートが完了すると【今すぐシャットダウンする】ボタンが表示される。
このようにMZ-V9P2T0B-ITのファームウェアのアップデートは非常に簡単に実施できる。
まとめ
MZ-V9P2T0B-ITは連続データの読み書きは速いが、不規則に配置された小さなデータの読み書きは他のSSDと同様にあまり早くないSSDだ。
とはいえ、OSの起動時間は非常に速いので、ストレスは全く感じない。
あくまでもベンチマーク測定結果のランダムアクセスの値が低いというだけ。
SAMSUNGはSSDの主要構成部品のDRAMの製造と設計を兼ねていて、自前ですべて賄えるメーカーなので信頼性は高く、大切なデータを保存する用途に向いている。
他に設計と製造の両方を兼ねているSSDブランドはMicronのcrucialしかない。
とはいえ、それらのメーカーも製造はTSMCに外部委託していると思われる。
安価な中国メーカーのSSDが注目されているが、ストレージに一番大切なのは壊れ難さと信頼性だ。その点だけを見れば老舗ブランドでノウハウのあるSAMSUNGには適わない。
MZ-V9P2T0B-ITは高価だが、安心代だと思えば高くない。
- 連続データの読み書きは速いがそれ以外のランダムデータの速度は普通
- OSの起動などの体感速度は十分速い
- ファームウェアのアップデートは簡単にできる