富士通のオーバーヘッドスキャナScanSnap FI-SV600Aを実際に3年間使用してわかった残念な個所や良い点をまとめてみた。
この記事はこんな人におすすめ!
- FI-SV600Aのリアルな感想を知りたい
- FI-SV600Aの良い点だけじゃなく悪い点が知りたい
- 向き不向きの用途がわかる
FI-SV600Aの発売は2015年2月
FI-SV600Aのレビュー
FI-SV600Aは様々な姿形の原稿を読み込んで画像化することができるスキャナー。
FI-SV600AとFI-SV600A-Pの違い
後ろに「-P」が付いているFI-SV600A-Pは通常だと1年間の保証が2年間付いている型番になる。保証期間以外の本体仕様や付属品等はまったく同じ。
FI-SV600Aの特長
FI-SV600Aは大きなA3サイズの原稿を読み取ることができて、高速にスキャンすることができる。
- A3サイズのような大型の原稿もスキャン可能
- 非常に高速にスキャンでき、解像度に関係なくスキャン速度は約3秒
FI-SV600Aの仕様
品名 | ScanSnap SV600 |
---|---|
型名 | FI-SV600A |
本体寸法 | 幅210 × 高さ383 × 奥行156mm |
本体重量 | 約3キロ |
付属品 | USBケーブル、ACアダプタ、電源ケーブル、ストッパー、背景マット、取扱説明書と保証書 |
FI-SV600Aの付属品
FI-SV600Aの外観
↑本体の下部には大きなスキャンボタンと、その中央上部にスキャンを停止するボタンが搭載されている。
↑左からAC電源、USBケーブル接続用の穴で、右端はケンジントンロック(セキュリティワイヤー)用の穴。
FI-SV600Aの読取りヘッド
↑ヘッド部分を下からみた写真になる。
左右に付いているのはLEDの光源。
中央にあるのが「高被写界深度レンズ」と「ライン型CCDセンサー」になる。
FI-SV600Aを3年間使用した感想
実際にFI-SV600Aを3年間使って感じた良かった点と残念な点を書いてみた。
主にA4フラットベッドスキャナーのESPONのGTX-830と比較している。
A4フラットベッドスキャナーのGT-X820とGT-X830の違いをまとめた記事はこちら↓
GT-X820とGT-X830の違いを徹底検証
FI-SV600Aの良い点
- スキャンスピードが速い
- 大きな原稿を読み取れる
スキャンスピードが速い
FI-SV600Aの最大の良い点はどんな高解像度の設定でスキャンしてもスピードが変わらないことだ。約3秒でスキャンが終わるのでまったくストレスを感じない。おそらくこれ以上スピード上げるのは技術的には難しいのでないかと思わせる程とにかく速い。
大きな原稿を読み取れる
↑本体の前に標準付属の背景マットを敷いたようす。
この背景マットの内側にあるマークまでのサイズを読み取ることができる。
A4フラットベッドスキャナーよりも大きなサイズの原稿も読み取れる。
最大で43センチ×30センチのサイズの原稿を読み取ることが可能
※原稿の厚さ5ミリ以下の場合
FI-SV600Aの残念な点
- スキャンした画像ファイルの左端に円弧状の白いスジが付く
- 画質が悪い
- 画像補正機能(ブック補正、コンテンツ歪み、ポイントレタッチ)の精度が悪く面倒
- 書籍を綺麗にスキャンできない
スキャンした画像ファイルの左端に円弧状の白いスジが付く
↑左端の指の直ぐ隣に白い曲線を描いたスジが写っている。
この画像だけだと下が空けて写っているようにも見えるが他の画像も同じ様にすべて薄っすらスジが写っている。
※上記写真は元々は見開きのページの写真を半分にカットして載せている。
この白いスジが写り込む現象は不良品の可能性があったので初期不良交換をしてもらったが、交換機も同様の現象が起きたので仕様のようだ。詳しくは後述している
画質が悪い
A4フラットベッドスキャナーのESPONのGTX-830と比べるとFI-SV600でスキャンした画像の画質は非常に悪い。
最高画質にしても解像度が良くなるだけで基本的な画質は良くならない。とくに色合いや歪みが酷い。
画像補正機能(ブック補正とポイントレタッチ)の精度が悪く面倒
画像補正機能のブック補正とポイントレタッチは光学的にスキャンした画像ファイルをソフトウェア処理で修正する機能になる。
この補正機能のなかのコンテンツ歪み補正は精度が悪く、少々良くなった程度しか修正されない。元々の光学的に取り込んだ画像をソフトだけで修正するのには無理があるようだ。
もっとひどいのはポイントレタッチ機能で、これは映り込んだ左右の指を手動で消すことができる機能だが、なんと、手動でポチポチとマウスをクリックして1画像毎、1指づつ手作業で消す必要がある。
富士通の公式Webサイトなどではこのポイントレタッチ機能で”簡単に補正できる”と書かれているが盲信してはいけない。
100枚画像ファイルがあれば100回×映り込んだ指の数だけ作業をしなければいけないので非常に面倒くさい。
おまけにこの機能を使って映り込んだ指を削除すると当然ながら指を消した箇所が丸ごと消えることになるので指を消した箇所だけが周囲よりも不自然な色合いになる。
このポイントレタッチほど残念な機能は見たことがない。
ポイントレタッチ機能を使うよりも無料の画像編集ソフトのトリミング機能を使って指が写り込んだ箇所を丸ごとカット処理したほうが100倍以上速く作業を終えることができる。
書籍を綺麗にスキャンできない
書籍(本)を綺麗にスキャンできないのがFI-SV600Aの最も残念な点になる。
こればかりはスキャンスピードとのトレードオフになっていて、スキャンは速いが画質は悪い。
FI-SV600Aは書籍(本)を綺麗にスキャンできない
FI-SV600AをEPSONのGTX-830のA4フラットベッドスキャナーと比較した場合、FI-SV600Aは画質が圧倒的に劣る。画質は見た目の綺麗さに加えて、致命的な欠点として画像が歪むことだ。とうぜん本の場合は文字も歪んでしまうのでよりいっそう読みにくい画像になってしまう。
つまり下記のとおり、画質とスキャンスピードはトレードオフになる。
FI-SV600A:
画質 < スキャンスピード
GTX-830(フラットベッドスキャナー):
画質 >スキャンスピード
FI-SV600AをGTX-830などのフラットヘッドスキャナと比較すると、書籍以外をスキャンした場合でも画質は悪い。
なので、主な用途が書籍のスキャンで画質重視の場合はFI-SV600Aの購入は避けることをおすすめする。
画像の左端に白いスジが付くのは初期不良ではない
前述したように、新品購入時からスキャンしたどの画像ファイルにも、左端に円弧状の白いスジが付いていたので、初期不良と思い販売店に頼んで交換してもらったことがある。
白いスジは初期不良ではなく仕様
初期不良交換対応で新しく届いたFI-SV600Aでも全く同じ箇所に白いスジが写る現象は変わらなかった。
このように、交換してもらったにもかかわらず白いスジが付くので、おそらく初期不良ではなく、仕様、もしくは多少の当たりはずれ、または光学的なレンズの歪みやCCDセンサーのズレの可能性が高い。製造ラインなどの違いによっても、このスジが付いたり付かなかったりする可能性もあると思う。
室内照明の光がスキャナの複雑な形状のレンズ部分に反射して発生している可能性もある。
その場合、PCモニタなどの照明を無くし、完全な暗所でスキャナ作業をすることは不可能なので、照明の反射が原因の場合、白いスジを防ぐのは難しそうだ。
FI-SV600Aの向き不向きの用途
FI-SV600Aは向き不向きの用途毎に記載してみた。
ここでもESPONのA4フラットベッドスキャナーGTX-830を比較対象としている。
とにかくFI-SV600Aの優れている点はスキャンスピードの速さだけだ。
向いている用途
- 伝票やレシートなどの厚みの薄い1枚ぺラの原稿をスキャンする場合で、かつ素早く撮影する用途に向いている
- 画質や歪みは気にしないのでとにかく短時間でスキャンしたい場合
- 指が写り込んでも気にならない、または映り込んだ指を画像編集フリーソフトで一括トリミングするのが前提の場合
不向きな用途
- 書籍などの厚みのある原稿、または高画質で歪みのない画像ファイルとして保存したい場合の用途には適していない
FI-SV600Aレビューまとめ
FI-SV600Aは本や写真などを高画質で歪みなく保存する用途にはまったく向いていない。
歪み補正の精度が悪いので、きちんとした向きにならないし、文字も歪んで読みにくい。
いっぽうで、大きな原稿も読み込めて、とにかくスキャンスピードが非常に早いのでスナップ的な記録として残すのには最適なスキャナーだ。
- 書籍などを高速にスキャンするには適しているが、画質が悪く歪みがある画像になる
- FI-SV600Aは完全にスナップ(一瞬のうちに素早く撮影する)用途向けのスキャナー
個人で写真などを丁寧に綺麗で歪みなく高画質で保存したい場合はFI-SV600Aは不向きで購入してはいけないスキャナーになるので気をつけてもらいたい。
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あくまでもFI-SV600Aは伝票などの厚みの薄い原稿をスナップ的用途で、素早く画像保存したい場合に適したスキャナーだと言える。